佐藤さん(仮名)は、週末のドライブを楽しみにしていた。愛車は購入してまだ3年目のSUVで、もちろんスマートキー搭載だ。目的地のカフェへ向かう途中、景色の良いパーキングエリアで休憩を取ることにした。車を停め、ドアロックのボタンを押すと、いつもなら「ピッ」と鳴る確認音がしない。あれ?と思い、もう一度押すが反応がない。ドアハンドルに触れてもロックされない。まさか、と思いエンジンをかけ直そうとスタートボタンを押したが、うんともすんとも言わない。メーターパネルには「キーが見つかりません」といった趣旨のメッセージが表示されている。スマートキーの電池切れだ。まだ新しい車なのに、と佐藤さんは少し焦った。予備の電池など持っていない。幸い、ここはパーキングエリアで、スマートフォンで情報を調べることはできた。「キーレス 電池切れ エンジンかけ方」と検索すると、いくつかの対処法が見つかった。まずはメカニカルキーでのドアロック。スマートキーから物理キーを取り出し、ドアを施錠・解錠できることを確認。これで車から離れることはできる。問題はエンジン始動だ。記事によると、スマートキー本体をスタートボタンに近づければエンジンがかかるらしい。半信半疑ながら、説明通りにスマートキーのロゴ部分をスタートボタンに押し当て、ブレーキを踏んでボタンを押してみた。すると、一瞬の間をおいてエンジンがかかった!「おお、本当にかかった!」と思わず声が出た。どうやらスマートキー内部のチップが、電池なしでも反応する仕組みらしい。佐藤さんは安堵し、ドライブを続けることができたが、目的地に着くまでの間、もし山奥で電池が切れていたら、もしスマホの電波がなかったら、と考えると冷や汗が出た。カフェで一息ついた後、近くのカー用品店に寄り、すぐにスマートキーの電池を交換してもらった。店員によると、スマートキーの電池は使い方によっては1年程度で切れることもあるという。今回の経験で、佐藤さんはスマートキーの便利さの裏にあるリスクを実感した。そして、電池切れの際の対処法を知っておくこと、そして何より、電池残量に気を配り、早めに交換することの重要性を痛感したのだった。
ある日突然キーレスが反応しないエンジンの危機