ドアクローザーの構造と止まらない理由を徹底解説


普段何気なく目にしているドアクローザーですが、ドアが自動で静かに閉まるのは、その内部にある精密な油圧機構のおかげです。この仕組みを理解することで、なぜドアクローザーが止まらなくなるのか、その理由も見えてきます。ドアクローザーの本体内部は、作動油で満たされており、ピストン、スプリング、そして速度調整弁などで構成されています。ドアが開けられると、アームを通じて内部のスプリングが圧縮され、エネルギーを蓄えます。そして、ドアから手を離すと、圧縮されたスプリングが元に戻ろうとする力(復元力)によってドアを閉じようとします。この時、スプリングの力だけではドアが勢いよく閉まってしまうため、油圧機構がその速度を制御する役割を果たします。具体的には、ピストンが移動する際に、本体内部の作動油が狭い通路を通って移動します。この油の流れる量を速度調整弁(ネジ)でコントロールすることで、ドアの閉まる速度を加減しているのです。ドアが閉まる最後の区間(ラッチングアクション)で速度を少し上げる機能を持つものもありますが、基本原理は油の流れの抵抗を利用した減速です。では、なぜドアクローザーが止まらなくなるのでしょうか。最も一般的な原因は、内部の作動油が漏れてしまうことです。本体ケースやシールの劣化、あるいは調整ネジの締めすぎや緩めすぎによって油が漏れると、油圧が適切にかからなくなります。油圧による抵抗が失われるため、スプリングの復元力だけでドアが閉まることになり、結果として「バタン!」と勢いよく閉まってしまうのです。これは、ドアクローザーが止まらない、速度調整が効かないという症状の典型的な原因です。油漏れは、本体に油が付着していたり、床に油が垂れていたりすることで確認できます。次に考えられるのは、内部機構の摩耗や破損です。長年の使用により、ピストンやシリンダー、ギアなどが摩耗したり、強い衝撃で部品が破損したりすると、正常な油圧制御ができなくなります。これも調整では修復できず、交換が必要となるケースです。また、温度変化もドアクローザーの動作に影響を与えます。特に冬場は作動油の粘度が高くなり、ドアの閉まる速度が遅くなることがあります。