田中さん(仮名)は、都内のオートロック付き分譲マンションに住む会社員です。ある週末の夜、友人との飲み会から帰宅した際、マンションのエントランス前で鍵がないことに気づきました。普段使っているカバンのポケットに入れたはずが、何度探しても見当たりません。時刻は深夜0時を過ぎ、管理人も不在。同居家族も旅行中で、部屋に入ることができません。途方に暮れた田中さんは、スマートフォンで鍵業者を検索し、24時間対応を謳う業者に連絡を取りました。電話口では「現場を見てみないと正確な金額は出せないが、解錠と交換で大体3万円から5万円くらいだろう」とのことでした。他に当てもなく、その業者に来てもらうことにしました。約1時間後、作業員が到着。まずエントランスのオートロックを特殊な器具で解錠。その後、田中さんの部屋の玄関ドアも同様に解錠しました。ここまでは比較的スムーズに進みましたが、問題は鍵交換の見積もりでした。作業員は「このタイプのディンプルキーは防犯性が高く、特殊なものなので交換費用が高くなる。部品代と作業費、出張費、深夜料金を合わせて12万円かかる」と告げました。田中さんは電話での概算金額とのあまりの差に驚き、抗議しましたが、作業員は「あくまで概算であり、実際の鍵の種類や状況によって変動するのは当然だ。この場で交換しないなら、また別の日に依頼してもらうことになるが、その際も出張費はかかる」と主張。深夜で判断力も鈍っており、早く問題を解決したい一心で、田中さんは渋々その金額で交換を依頼してしまいました。翌日、冷静になって管理会社に連絡したところ、「提携している鍵業者なら、同じ作業でもおそらく7万円程度で済んだはずだ。なぜ事前に連絡してくれなかったのか」と言われ、さらに落ち込みました。管理会社によると、田中さんのマンションの鍵は特殊ではあるものの、法外な値段ではないものの、相場よりかなり高額な請求だったようです。田中さんは高額な費用を支払った上に、管理会社への事前連絡を怠ったことで注意も受けるという、苦い経験をすることになりました。この事例から学べる教訓は、オートロックの鍵紛失時は、まず管理会社へ連絡することの重要性です。緊急時であっても、焦って個人で業者を探す前に、管理会社指定の業者や対応方法を確認すべきです。