玄関での鍵の受け渡しや保管に便利なキーボックスですが、その利便性の裏側には、防犯上のリスクも潜んでいます。設置方法や使い方を誤ると、かえって空き巣などの犯罪者に狙われる原因となりかねません。安全にキーボックスを利用するために、知っておくべき防犯上の落とし穴とその対策について解説します。最も大きな落とし穴は、キーボックス自体の強度不足です。安価で簡易的なキーボックスの中には、工具を使えば比較的簡単に破壊できてしまうものも存在します。たとえ暗証番号が分からなくても、ボックス自体を壊されてしまえば中の鍵は取り出されてしまいます。対策としては、購入時に製品の材質や構造をよく確認し、できるだけ堅牢な作りのものを選ぶことが重要です。亜鉛合金製やステンレス製など、破壊に強い素材でできているか、ある程度の重量があるかなどを目安にしましょう。次に、暗証番号の管理に関する落とし穴です。暗証番号を誕生日や電話番号、住所の番地など、推測されやすいものに設定してしまうと、第三者に容易に解錠されてしまう危険性があります。また、初期設定のまま使い続けたり、長期間同じ番号を使い続けたりするのも避けるべきです。対策としては、推測されにくい複雑な番号を設定し、定期的に変更することを習慣づけるのが基本です。暗証番号をメモに残してキーボックスの近くに隠したりすることも絶対にやめましょう。設置場所も重要なポイントです。玄関ドアの真横など、人目につきやすく、「ここに鍵がある」と分かりやすい場所に設置するのは、犯罪者にターゲットにしてくださいと言っているようなものです。かといって、あまりにも人目につかない場所に設置すると、誰かがキーボックスを破壊しようとしていても気づかれにくいという側面もあります。理想的なのは、住人や近隣住民からは見えやすいけれど、道路など不特定多数の人が通る場所からは直接見えにくい、といった場所です。設置場所の選定は慎重に行いましょう。キーボックスの存在を不用意に他人に知らせないことも大切です。SNSなどでキーボックスの設置場所が特定できるような情報を発信するのは非常に危険です。鍵の受け渡しが必要な相手にのみ、口頭など安全な方法で場所と暗証番号を伝えるようにしましょう。