油漏れは危険信号ドアクローザーが止まらない原因を探る


ドアクローザーの調子が悪く、ドアが適切な位置で止まらずに勢いよく閉まってしまう場合、その原因として最も疑われるべき症状の一つが「油漏れ」です。ドアクローザー本体やその周辺に油が付着している、あるいは床に油が垂れた跡がある場合、それは内部の油圧機構が正常に機能していない可能性が高いことを示唆しています。この油漏れは、単にドアの閉まる速度が制御できなくなるだけでなく、ドアクローザーの寿命が近づいている、あるいはすでに寿命を迎えているサインであり、放置すると危険な状況を招く可能性もあるため注意が必要です。ドアクローザーは、内部に満たされた作動油の抵抗を利用して、ドアが閉まる速度をコントロールしています。ドアが開かれるとスプリングが圧縮され、ドアが閉じるときにそのスプリングの力で閉まりますが、油が狭い通路を移動する際の抵抗によって、その速度を緩やかにしています。速度調整ネジは、この油の流れる通路の幅を調整することで、速度を加減する仕組みです。しかし、長年の使用によるシールの劣化や、外部からの強い衝撃、不適切な調整などによって本体に亀裂が入ったり、シール部分から油が漏れ出したりすると、この油圧制御システムが破綻します。内部の油量が減少すると、油圧による抵抗が十分に得られなくなり、スプリングの力だけでドアが閉まろうとするため、速度調整が全く効かず、「バタン!」と激しく閉まる状態、つまり「止まらない」状態になってしまうのです。油漏れを起こしたドアクローザーは、基本的に修理することは困難です。内部のシール交換などで対応できるケースも稀にありますが、多くの場合、アッセンブリ(全体)での交換が必要となります。油漏れを放置すると、漏れた油で床が汚れたり滑りやすくなったりするだけでなく、ドアが勢いよく閉まることによる指挟み事故のリスクが高まります。特に小さなお子さんや高齢者のいるご家庭、不特定多数の人が利用する施設のドアなどでは、重大な事故につながる可能性も否定できません。また、油圧が効かない状態でドアの開閉を繰り返すと、ドア本体やドア枠、蝶番など他の部分にも無理な負荷がかかり、さらなる故障を引き起こす可能性もあります。