ドアラッチがその機能を十分に発揮するためには、「ストライクプレート(受け座)」との正しい位置関係が不可欠です。ストライクプレートとは、ドア枠側に取り付けられている金属製の板で、ドアラッチのラッチボルトが収まるための穴が開いています。この二つの部品が適切に連携することで、ドアはスムーズに閉まり、確実に固定されるのです。ドアを閉めようとすると、まずラッチボルトの斜めにカットされた先端部分がストライクプレートの縁に接触します。そのままドアを押し込むと、ラッチボルトはストライクプレートに押されてドア内部に一時的に引っ込み、ストライクプレートの穴の位置まで来ると、内部のスプリングの力で再び突出し、穴にカチッとはまり込みます。この一連の動作がスムーズに行われるためには、ラッチボルトとストライクプレートの穴の位置が正確に合っている必要があります。もし、これらの位置がずれていると、様々な不具合が生じます。例えば、ストライクプレートの位置が高すぎたり低すぎたりすると、ラッチボルトが穴にうまく入らず、ドアが完全に閉まらなかったり、逆にドアを開ける際にラッチが引っかかって重くなったりします。また、ストライクプレートがドアに近すぎたり遠すぎたりすると、ドアを閉めた際にガタつきが生じたり、気密性が損なわれたりする可能性があります。長年使用しているドアでは、ドア自体の歪みや蝶番の緩み、あるいは建物のわずかな変形などによって、ドアラッチとストライクプレートの位置関係が微妙にずれてくることがあります。「最近、ドアの閉まりが悪くなった」「ドアを閉めてもカチッと言わなくなった」といった症状は、この位置ずれが原因であることも少なくありません。このような場合、ストライクプレートの位置を微調整することで改善できることがあります。ストライクプレートを固定しているネジを少し緩め、上下左右にずらして最適な位置を探し、再度ネジを締めます。ただし、調整は数ミリ単位の微妙な作業であり、やりすぎるとかえって状況を悪化させる可能性もあります。ストライクプレートの穴の縁には、ラッチボルトがスムーズに滑り込むように、わずかな傾斜(チリ)が設けられていることもあります。この部分にゴミが溜まったり、変形したりしていないかも確認しましょう。