あれは忘れもしない、金曜日の夜のことでした。仕事の打ち上げで少し飲みすぎた私は、千鳥足で自宅マンションの前にたどり着きました。上機嫌でポケットを探った瞬間、血の気が引きました。いつも入れているはずの場所に、家の鍵がないのです。酔いも一気に醒め、コートのポケット、カバンの隅々まで必死に探しましたが、鍵はどこにも見当たりません。最後に鍵を使ったのは家を出る時だったか、それとも会社を出る時か、記憶は曖昧でした。時間はすでに深夜1時を回っています。どうしよう、このままでは家に入れない。途方に暮れた私は、藁にもすがる思いでスマートフォンを取り出し、「賃貸 鍵 なくした」と検索しました。いくつかの記事を読むうちに、まずは管理会社に連絡すべきだという情報にたどり着きました。幸い、契約時にもらった書類の中に、夜間緊急連絡先の電話番号が記載されていました。震える手で電話をかけると、眠そうな声の男性が出ました。「すみません、鍵を無くして家に入れなくて…」事情を説明すると、担当者は慣れた様子で、私の名前と物件名、部屋番号を確認しました。そして、「提携している鍵屋を手配しますので、30分ほどお待ちいただけますか」と言われました。その言葉にどれほど安堵したことか。寒い夜空の下で待つこと約40分、鍵屋さんが到着しました。身分証を確認された後、特殊な工具を使って、ものの数分でドアを開けてくれました。家の中に入れた時の安堵感は、今でも忘れられません。しかし、安心したのも束の間、鍵屋さんは「防犯のため、鍵の交換をお勧めします」と言いました。後日、管理会社から連絡があり、鍵の開錠費用とシリンダー交換費用として、予想以上の金額が請求されました。痛い出費でしたが、自分の不注意が招いた結果です。この一件以来、私は鍵の定位置管理を徹底し、紛失防止タグも導入しました。あの冷や汗と不安、そして費用を考えれば、予防がいかに大切か身に沁みています。管理会社さんの迅速な対応には本当に感謝していますが、二度とあんな思いはしたくないものです。
冷や汗体験談家の鍵を無くして管理会社に泣きついた日